1.親権者の変更とは

 親権者の変更とは、離婚時などに父母の一方が親権者と定められた後、子の親族の請求によって、家庭裁判所が親権者を他方に変更することです。親権者の変更は「子の利益のため必要があるとき」に認められます(民法819条6項)。

2.親権者の変更手続き

 父母当事者間のみによって、親権者を変更することはできません。必ず家庭裁判所の手続きを経なければなりません。
 親権者の変更は家庭裁判所の審判事項です(家事事件手続法39条・別表2第8項)。別表2事件の詳細は後述します。ここでは親権者の変更手続きに必要な書類等について述べます。

申立権者子の親族(民法819条6項・725条)
申立費用対象となる子1人につき、収入印紙1200円
予納郵券東京家庭裁判所を例にとると、東京家庭裁判所の予納郵券は966円(100円×2、82円×8、10円×10、5円×2)となっています。
添付書類申立人、相手方(親権者)及び子の戸籍謄本各1通

 その他に、事情説明書、連絡先の届出書、進行に関する回答書各1通が必要となります。

 親権者変更の審判に対しては、即時抗告することができます(家事事件手続法85条、172条1項10号)。
 審判の管轄は、子の住所地の家庭裁判所です。子が数人いる場合はそのうちの1人の子の住所地の家庭裁判所に申し立てることができます(同167条)。調停の管轄は相手方の住所地となります(同245条1項)。

3.別表2事件とは

 家事事件手続法別表第2に列挙された事件であり、家事審判手続きの対象となる事件のうち、当事者の合意により解決することができる事項についての事件です。
 調停、審判のいずれの対象ともなります。したがって、いずれの手続きを申し立てることも可能ですが、家事調停手続きが不成立になると当然に審判手続きに移行します。

4.親権者変更の判断基準

 親権者変更の判断基準は「子の利益のため必要があると認められるとき」です。具体的には監護態勢の優劣・父母の監護意思・監護の継続性・子の希望・子の年齢・親権者の再婚・申し立ての動機や目的・親権者についての合 意と事情の変更・離婚時の約束・親権と監護権の分属による障害・親権者の所在不明・親権者変更申立権の濫用・監護の放棄などを考慮して変更を必要とする特別の事情が必要となります。

5.監護者の変更手続き

 離婚の際に、父、母又は家庭裁判所が親権者でない者を監護者と定めた場合であっても、家庭裁判所は、その後の事情の変更により子の利益のため必要があると認めるときは、監護者を変更することができます(民法766条2項)。

 監護者の変更は、親権者の変更とは異なり、当事者の協議によっても可能であると解されています。
 監護者を変更するために、この監護に関する処分事件として、監護者の変更の調停・審判を求めることができます(家事事件手続法39条、244条、別表2第3項)。
 変更の基準は、従来の監護状況の推移・子に対する愛情及び監護意欲・居住及び家庭環境・収入等の生活能力・子の年齢・性別等の諸般の事情を総合的に考慮して決定されます。

6.親権と監護権の意味って?

 親権とは財産管理権と身上監護権との総称です。監護権は親権の一部である身上監護権のことです。
 財産管理権というのは、子の財産を管理し、子が行う法律行為に同意するかどうかの権限のことです。
 監護権は、子の心身の成長のための教育及び教育を中心とする権利義務の総称です。具体的には親が子の居所を指定する居所指定権等があります。
 父を親権者と定めつつ、母を監護者とすることも可能です。