1 はじめに

 最近受けるご相談として、子との面会交流を認める調停や審判が成立したものの、親権を持つ親がこれに協力しないため面会交流ができないという相談が増えております。
 そこで、今回は、面会交流を実現させるための手段についてご説明します。

2 履行勧告

 調停や審判で決められた面会交流が実現しない場合に、まず実施すべき手段としては、家庭裁判所に対して、履行勧告の申し出をすることが考えられます。

 履行勧告とは、文字通り、家庭裁判所から親権のある親に対して、調停や審判で決められた面会交流をきちんと実施しなさいと、促す行為のことです。

 ただ、この制度は、あくまで任意の実施を促すにとどまるものですので、履行勧告を受けた者がこれを無視することもできてしまうという欠点があります。

3 間接強制

 履行勧告を行っても面会交流が実現しなかった場合、次にとるべき手段としては、間接強制の申立てを行うことが考えられます。

 この手段によれば、調停や審判で決められた面会交流を1回実施しない毎に罰金5万円というように、面会交流の不履行に対して罰金が科されることになりますので、心理的・経済的にプレッシャーをかけて面会交流の実施を促すことができます(ただし、相手方が任意に罰金の支払に応じない場合には、別途強制執行手続を実施して取り立てる必要があります)。

4 その他

 上記2つが面会交流を実現するために考えられる法的手段ですが、その他にも、面会交流権という権利の侵害を原因とする損害賠償請求訴訟を提起するという手段をとることも考えられるところです。
 面会交流が実現されずにお困りの方は、一度弁護士へご相談下さい。

弁護士 森 惇一