1 はじめに

 こんにちは、弁護士の平久です。
 今回は、DVについて取り上げます。次回は、法律的な問題を解説しようと思いますので、今回は、DV事件の特色など基礎的な知識を説明いたします。

2 DVとは

 DVとは、ドメスティック・バイオレンスのことで、家庭・恋人等親密な人間関係における暴力のことを指します。暴力には、殴る・蹴るといった直接的な有形力の行使だけでなく、壁を蹴る、物に当たるといった間接的な暴力もあります。

 その他、大声を出す、脅迫する、侮辱する、性的虐待、ネグレクト、友人や親族との交際・外出を制限・監視し、周囲の人間から孤立させる、生活費を渡さなかったり、稼いできた金銭を取り上げるなど様々な態様の暴力が指摘されています。直接的な暴力だけではなく、こういった様々な態様の暴力に複合的に苦しめられている被害者の方も多いのではないでしょうか。

3 DVの加害者の特色

 一昔前は、DVの加害者は、一定の階層に偏っているとか、粗暴癖があるといった偏見があったようですが、階層、職業などに偏りはなく、教育水準が高く、社会的地位が高い人物であってもDVの加害者となることは珍しくありません。

 学校の教師、警察官といった職業の方がDVの加害者であることも多々あります。こういった職業は、外面的イメージが重要であるので、日常ストレスがたまり、家の中でストレスを発散しようとするのでしょうか。また、一見おとなしそうであったり、愛想の良い人物であっても、DVの被害者の前では豹変しますので、なかなか外見で判断するのは難しいようです。

4 DVの発生要因

 加害者側の心理(自己中心的性格、男尊女卑的思考、異性に対する支配欲)と被害者側の心理(自分が我慢すれば良い、自分がいないと加害者はだめになってしまうといった「共依存」状態)が主な発生要因といえますが、専業主婦で夫の収入に依存しているため、経済的に自立できなかったり、子どもや親族などに被害が及ぶことを恐れて加害者から離れられないといった事情も挙げられます。

5 DVの周期

 DVには、①緊張の蓄積期(ストレスが少しずつたまっていく時期)→②暴力爆発期(DVが行われる時期)→③ハネムーン期(DVについて猛省し、二度としないと約束したり、高価な物をプレゼントしてくれたりして急に優しくなる時期)→④緊張の蓄積・・・といった周期があるとの考えもあります。しかし、実態は多様なようで、ハネムーン期がないケースも多いようです。

参考:2010年11月4日東京弁護士会両性の平等に関する委員会における張學錬氏の「DV法律相談について」の講演

弁護士 平久真