こんにちは。長谷川です。
 引き続き、外国人との離婚について、お話していきますね。
 (前回の記事はこちら:外国人との離婚~その5~

 今日は、外国人が離婚すると、生じうる在留資格の問題についてお話します。

 外国人が日本で暮らす場合、ご存じのとおり、在留資格(簡単に言えば、ビザ)が必要になります。

 日本人と結婚している外国人だと、『日本人の配偶者等』という在留資格を持っていることが多いのではないかと思います。

 では「日本人の配偶者等」の在留資格を有している外国人が、日本人配偶者と離婚すると、在留資格はどうなってしまうのでしょうか。

 まず、子どもがいる場合、この外国人が親権をとって子どもを養育する立場になると、婚姻期間の長短に拘わらず、「定住者」という在留資格に変更できることになります。

 『定住者』のビザも、「日本人の配偶者等」と同じく、身分関係に基づいた在留資格であり、稼働制限もありませんので、在留資格の点からは、離婚後の生活が制限を受けることは考えづらいと思われます。

 次に、子どもがいない場合、又は子どもがいても外国人が親権をとれなかった場合はどうなるのでしょうか。

 事案を見ていると、離婚に至るまでに、概ね、円満な婚姻期間が3年以上あると、子どもがいなくても、或いは子どもの親権がとれなくても、「定住者」へ変更できることが多いようです。

 ただ、あくまでも「円満な」婚姻期間が3年以上必要ですから、最低限、同居期間が3年以上必要になります。別居している状態での婚姻期間が3年以上あっても、「円満」とは言い難い為、「定住者」への変更は難しいということになります。

 では、「円満な」婚姻期間が3年以上ない場合は、「定住者」に変更される余地はないのでしょうか。

 私が実際に扱ったケースで、夫の不貞と暴力によって別居/離婚に至った外国人女性の事件がありました。この女性は、同居期間が2年半程度しかありませんでした。ただ、暴力に関して相手方が裁判所の和解調書上で謝罪して解決したこともあり、離婚を余儀なくされた事情について女性側に非がないことは明らかになりました。そのおかげなのか、子どもがいないケースでしたが、離婚後にその女性は『定住者』への在留資格変更が認められました。

 従って、離婚後に「定住者」への変更が認められるか否かは、最終的には事案によると言わざるを得ませんから、1度弁護士等にお尋ねになってみると良いと思います。

弁護士 長谷川桃