こんにちは。長谷川です。
前回は、親権者の決定に際して裁判所が最も重視している要素は、従前の主たる監護養育者が誰かという点と監護の継続性という点だと申し上げました。
では、主たる監護養育者が誰であるかという点は、どのように判断されるのでしょうか。
通常、私達が親権を争う場合には、主たる監護養育者の主張については、出生時から現在迄、誰が、子育てを中心に行ってきたかという点を細かく主張していきます。例えば、食事の世話をしていたのは誰か、お風呂に一緒に入っていたのは誰か、幼稚園や保育園の送迎を行っていたのは誰か、学校や幼稚園/保育園の行事に参加していたのは誰か、休日や長期休暇はどのように過ごしていたのか、病気の時に面倒を見ていたのは誰か、子どもと夜一緒に寝ていたのは誰か等々、毎日の生活を誰が一緒に行っていたのかということを細かく主張していくわけです。
またこれらの点を立証する為に、幼稚園や保育園の連絡帳や学校の通知表、行事等へ参加したときの写真を証拠提出したり、予防接種や健康診断へ連れて行った時の問診票の写しや子どもが入院したようなことがあればそのカルテ等の写しも取り寄せます。
連絡帳や通知表は、家庭からの連絡やレスポンスを誰が書いているのか示せる場合があるので、誰が子育てに関わっていたのか明らかにする一証拠になりえます。
写真は、いわずもがなですね。行事に参加していれば写っていますから、子育てへの関与が分かる証拠になります。
また、問診票の写しには、予防接種等に同行した親のサインが書いてあるので、誰が、子どもの健康管理に関わっていたのかということを示すことも可能です。カルテの写しについても同じですね。医師が誰に子どもの病状等を説明していたのかという記載が入っていることが多いので、子どもの健康管理に関わっていたのかという点を示し得ます。
更に、日々の全体的な養育状況について、幼稚園や保育園、小学校の先生などに話を聞いたり、ママ友がいればその人たちにも、誰が中心的に子育てに関わっていたのかという話を聴取することも試みます。(祖父母も聴取の対象たりえますが、親族なので、証拠の信用性という点では、劣ってしまうことは否めません。)
こういった形で、主たる監護養育者が誰であったのかという点を立証し親権を争っていくわけですが、立証の方法は、事案に応じて、それこそ千差万別です。
ここに挙げてあるのも一例に過ぎません。
従って、親権を争う場合には、是非、弁護士に、どのような立証手段が考えられるのか、事案を具体的に示してご相談になると良いと思います。
次回は、親権者決定の重要要素のもう1つである「監護の継続性」についてお話します。
弁護士 長谷川桃