新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
さて、公益法人制度について、続きをお話していきたいと思います。
前回、公益法人制度の見直しによって、すでに設立されている民法上の公益法人は、存続を望む場合、平成25年11月末日の移行期間終了までに公益社団・財団法人か一般社団・財団法人のいずれかへの移行手続を取らなければならないとお話しました。
そして、一般社団・財団法人へ移行する場合には、①定款の内容が一般社団・財団法人法の規定に適合していることに加えて、②これまで公益法人が寄付や税制優遇を受け、公益的性格を有する財産を形成してきたことを考慮して、「公益目的支出計画」を作成し、認可を受ける必要があるとお話しました。
(前回の記事はこちら:)
この「公益目的支出計画」とは、移行時の純資産額を基礎に計算した公益目的財産額がある場合には、その公益目的財産額に相当する金額を、公益の目的のために消費していく計画であり、移行後の一般社団・財団法人は、その計画に従って、公益目的財産額に達するまで公益のために行う事業(実施事業等)を行政庁の監督を受けながら行うことになります。
大雑把に言えば、移行時の純資産相当額を分割して吐きだす計画を立ててください、ということになります。
このようにお話すると、公益目的支出計画は、法人の財産を減らすことを求めているのかと思われると思いますが、そういうわけではありません。
公益法人は複数の事業を営み、公益事業と収益事業の両方があることが通常と考えられます。
たとえば、純資産額から計算した公益目的財産額が1億2000万円の法人Xの事業について、
事業A(従来の公益事業) 赤字額:1300万円
事業B(従来の公益事業) 赤字額:700万円
事業C(収益事業) 黒字額:4000万円
であったとします。
Xが、従来の公益事業である事業A及び事業Bの赤字額合計2000万円を6年間継続する公益目的支出計画を作成した場合でも、収益事業である事業Cによって資産を増加させることが可能なわけです。
ただし、実施できないような計画を立ててもいけませんので、一般財団・社団法人に移行する際には、この公益目的支出計画について計画の適正だけでなく、確実に実施できると見込まれるかも認可の基準となります。