今回も公益法人制度について、続きをお話していきたいと思います。
 (前回の記事はこちら:公益法人3

 前回まで、すでに設立されている民法上の公益法人が、一般社団・財団法人へ移行する場合について、お話してきました。
 今回は、すでに設立されている民法上の公益法人が、公益社団・財団法人へ移行する場合の認定についてお話したいと思います。

 公益社団・財団法人への移行認定の基準は、

1 定款の内容が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「法人法」といいます。)並びに公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「認定法」といいます。)に適合するものであること

2 認定法第5条各号に掲げる基準に適合するものであること

です。

この「2 認定法第5条各号に掲げる基準」には、大きく分けて、
① 法人の目的および事業の性質、内容に関するもの
② 法人の財務に関するもの
③ 法人の機関に関するもの
④ 法人の財産に関するもの
があり、これらの基準は、移行後も引き続き遵守しているか監督が行われます。

以下、具体的に見ていきます。

① 法人の目的および事業の性質、内容に関するもの

・公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること(1号)
・公益目的事業に必要な経理的基礎および技術的能力があること(2号)
・当該法人の関係者等または営利事業を営む者等に特別の利益を与えないこと(3・4号)
・公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくない事業等を行わないこと(5号)
・公益目的事業の収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれること(6号)
・収益事業等が公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないこと(7号)

 認定法第5条6号は、上記のように収支相償であると見込まれることを要請しています。これは、公益目的事業は、不特定多数の者の利益の増進に寄与すべきものであることから、受益者の範囲を可能な限り拡大することを求める趣旨とされています。
 ただし、この判定にあたっては、仮に収入の額が費用の額より大きくても、その差額を招待のその事業の費用に充てる資金(特定費用準備資金)に繰り入れる場合は、収支相償の基準を満たしているものとみなしたりされます。

 次回は「2 認定法第5条各号に掲げる基準」の続きをお話したいと思います。