こんにちは。
前回は「労働者派遣法改正案」について、大まかな変更点をご紹介しました。(前回の記事はこちら:労働者派遣法改正案)
予定通り(?)、国会は6月16日に閉会されました。しかし、当法案は廃案とはならず、衆議院において閉会中審査に決したものとして、継続審議扱いとなっております。
いずれにせよ、労働者派遣法改正案は参議院選挙後の臨時国会で成立する可能性もあり、引き続き注視が必要ですので、今回も労働者派遣法改正案について述べたいと思います。
現行法では、労働者派遣の役務については、労働者派遣法施行令第4条に掲げる専門26業務等を除き、派遣可能期間(原則1年、最長3年)の制限を超えて継続して提供を受けることはできません。しかしながら、派遣可能期間の制限を免れることを目的として、契約上は専門26業務と称しつつ、実態的には専門26業務の解釈を歪曲したり、拡大したりする事案が見られることから、改善のため、厚生労働省は今年の2月「専門26業務派遣適正化プラン」を策定・実施しております。特に、一般事務と混同し、問題となりやすい業務についてご紹介いたします。
1.事務用機器操作
事務用機器操作は、「電子計算機、タイプライター、テレックス又はこれに準ずる事務用機器の操作」と規定されています。しかし、現在はパソコンが当たり前の社会になっているため、迅速・的確な操作に習熟を要するものに限られると解釈されています。
例えば、文字、データ入力のみならず、編集、加工、演算処理を行い、レイアウト等を考えながら行う業務である必要があります。単純に数値をキー入力するだけの業務は、事務用機器操作に該当しません。
2.ファイリング
ファイリングは、高度の専門的な知識、技術又は経験を利用して、分類基準を作成した上で当該分類基準に沿って整理保管を行うもの等に限られます。
例えば、書類が大量に発生する事務所において、書類の内容、整理の方法についての専門的な知識・技術をもとに、書類の重要度、内容等に応じた保存期間・方法を定めた文書管理規程を作成し、規程に基づいて、書類を分類・整理・保存・廃棄することにより、事務所内職員が書類の所在を把握できる仕組みを維持する業務等が該当します。既存の管理規程に基づき、書類の整理を行っている場合や、文書を番号順に並び替え、ファイルに綴じるだけの場合はファイリングに該当しません。
なお、付随的な業務等を行う場合には、少しでも全く無関係の業務を行っていると「専門26業務」ではないと評価されるので注意が必要です。