こんにちは。
今回は、「労働者派遣法改正案」について、ご紹介させていただきます。
大きな変更点は下記のとおりです。
① 事前規制の強化
いわゆる「派遣切り」や、雇用の安定性に欠ける派遣形態が問題となったことから、労働者の保護のために事前規制が強化されます。
- 通訳や秘書等の専門26業務を除いた、登録型派遣の原則禁止
- 1年を超える雇用(常時雇用)を除いた製造業務派遣の原則禁止
- 日雇い(2ヶ月以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)の原則禁止
- 一つの派遣先(グループ内企業を含む)に対して提供する労働者派遣の役務に係る量が、全ての労働者派遣の役務に係る量の8割を超えることの禁止
- 離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることの禁止
② 派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善
派遣労働者の不透明な待遇決定、低い待遇の固定化の防止のため、労働者の就業形態に関わらず、就業の実態に応じた均等な待遇を確保する規定が創設されます。
- 派遣元に、一定の有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換推進措置を努力義務化
- 派遣料金と派遣労働者の賃金の差額(いわゆるマージン率)などの情報公開を義務化
- 派遣元から派遣先及び派遣労働者に対する通知義務の拡大(派遣労働者の賃金等)
③ 違法派遣に対する迅速・的確な対処
偽装請負等の違法派遣や行政処分を受ける企業の増加に伴い、直接雇用みなし規定が創設されます。
- 派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣労働者は、派遣先に対し自己の雇用主とみなす旨の通告が可能
- 通告後は、派遣労働者と派遣元の間の雇用契約は、派遣先との雇用契約に移転したものとみなす
国会の会期末が6月16日ですので、上記労働者派遣法改正案は廃案になる可能性が高いでしょう。しかしながら、派遣労働者保護のための労働者派遣法の改正は必至と見られ、企業にとっては法改正の動向が注目されるところですね。