こんにちは。
 今回も労働者派遣法の改正についてお話しさせていただきます。
 様々な改定がありましたが、今回のマージン率の公表、違法派遣に関する改正で最後となります。

(1)マージン率の公表(労働者派遣法23条5項)

 派遣法改正により、派遣元会社は、インターネットやパンフレット、事業所における書類の備付等の手段により、労働者派遣に関する料金額と派遣労働者の賃金額の差額の派遣料金に占める割合(マージン率)等につき、派遣労働者(となり得る者)、派遣先(となり得る者)に対し、情報提供義務が課されることになりました。

 マージン率は、毎事業年度終了後に、毎事業年度毎に算定したものを提供することになります。

 また、マージン率は、企業体全体で出すのではなく、事業所ごとに算定することになります。もっとも、ある事業所が他の事業所と収益等の区別なく一体的な経営を行っている場合には、当該事業所と他の事業を一体のものとして算定することになります。

 マージン率の算定方法については、以下の計算式に基づき求めることになります。

 マージン率 = (※1  -  ※2) ÷ 労働者派遣に関する料金額の平均額

※1 派遣労働者1人あたりの1日(8時間)の派遣料金額の平均額(当該事業年度分)
※2 派遣労働者1人あたりの1日(8時間)の賃金の平均額(当該事業年度分)

 なお、マージン率は、高ければ高いほど派遣労働者等から評価が高いと思われがちです。
 しかし、その他福利厚生や教育訓練に関する事項充実している企業は、当該福利厚生棟に対する経費の関係から、必ずしもマージン率が高いわけではありません。そのため、派遣労働者に対する福利厚生等を充実させているような場合は、マージン率とともに、福利厚生等を行っていることをしっかりとアピールすることも企業としての評価を高めるうえで重要です。

(2)違法派遣を認識していた場合の直接雇用申し込みみなし制度(労働者派遣法40条の6)

 平成27年10月1日より施行される改正により、派遣先が、当該労働者派遣が違法派遣であると認識していた場合に、当該派遣労働者に対して、直接雇用の申込みをしたものとみなす制度が開始されます。

 違法派遣は、労働者派遣法4条3項において禁止されている業務について派遣を行った場合、同法24条の2において禁止されている複数の派遣餓死者から派遣労働者を受け入れた場合、同法40条の2第1項において禁止されている期間以上の期間派遣労働者を受け入れた場合、そして労働者派遣法の禁止規定をまぬかれる目的で、請負等の名目で実質は労働者派遣を行った場合であるとされています。

弁護士 中村 圭佑