前科とは、一般的に、確定判決で刑の言い渡しを受けた経歴の事を指します。懲役刑・罰金刑で執行猶予を受けても、前科です。ただ、「確定判決」とのことですから、逮捕されて勾留されても、起訴されずに釈放されたり、少年審判による少年院送致処分等は、前科とは呼ばれません。

 前科があると、法律上どのような効果があるのでしょうか。
 刑法上には、いくつかありますが、やはり最も検討することが多いのが、執行猶予を付しえない事由となる可能性(25条)です。前に禁固以上の刑に処せられた者か否かは、執行猶予の可否に関わってきます。  刑事訴訟法上には、必要的保釈の消極事由(89条2号)となります。被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあると、必要的保釈は認められません。ただ、裁量的保釈の道は一応残されています。
 そのほかにも、特定の資格や職業が制限されたりする等、他の法律によって前科の効力が定められている場合もあります。

 よく、前科っていつ消えるの?という質問を受けたりします。
 刑法34条の2が刑の消滅を定めています。一定以上の期間、罰金以上の刑に処せられなければ、刑の効果が消滅し、上記の資格・職業制限から回復したりします。
 しかし、過去に刑を受けたことがあるという事実は基本的には消えないと考えていいです。

 検察庁では、犯歴事務規定に基づき犯歴管理を行っています。公判で提出される前科調書は、この規定に基づき照会されたものです。検察庁の犯歴管理の記録は、刑法34条の2により刑が消滅されても削除されません。死亡によってのみ抹消されます。
 罰金以上の有罪判決が確定した者は、区市町村に備え付けの犯罪人名簿にも記載されますが、これは刑法34条の2に規定されている事由により刑が消滅すれば、犯罪人名簿から記載が削除されます。
 前科は戸籍に載る?なんて質問もよく受けますが、戸籍には載ることはありません。

弁護士 吉田公紀