息子が窃盗犯として逮捕されてしまった・・・

今回は、以前担当した「窃盗犯」の弁護活動について書いていきたいと思います。

私が、既に勾留されている被疑者のもとに接見に行くと、
被疑者は見た目はただのヤンキーの兄ちゃん。
年齢は私と同じくらい・・・

友人と一緒に倉庫に忍び込んで、その中の工具等を盗んで、売りさばいてお金を得ていたとのこと。
私の第1印象・・・「これなかなか悪質な犯罪やな。。。」

ここでまず、窃盗罪について。

刑法235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

しかも彼、前科があって、ひったくりで実刑くらっていて、出所してから5年経っていないらしい。

執行猶予が付される条件として、

「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金であること」
さらに、
・前に禁固以上の刑に処せられたことがない者
・前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免除を得た日から、5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者
・前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を猶予された者が1年以上の懲役又は禁固の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるとき

今回は、前の刑の執行が終わった日から5年が経過しておらず、執行猶予がつかない事案です。

執行猶予がつかないなら弁護士が何をしてもあまり変わらないのでは?
私もやる前はそう思っていたところもありました。
しかしそうではないんです。お父さん、お母さん!
裁判の場というのは息子さんの絶好の更正の機会です。
1mmも無駄にしてはいけません。

この件最終的にどのように推移したかというと・・・

被疑者本人が自白していたので、私は情状弁護に絞って公判弁護活動をしようと思っていました。
(情状弁護とは、犯罪事実自体には争いがない場合に、弁護人が本人にとって有利な事情を主張し、量刑を軽くするための活動です。)
情状証人には本人の親族がなるのが通常であるため、本件も親族に頼もうと思っていました。

しかし、建築請負の一人親方として仕事をしていた彼に対して、仕事を配給する元請の方が情状証人として裁判の場で証言してくれるということでしたので、一応この方も呼びました。

まぁ、実刑確実ですし、彼は本当にいきがっていたんで、情状証人に来てもらっても量刑には影響しないし、必要ないかなぁと思っていましたが、来てもらいました。

しかし、蓋を開けると本当にびっくりしました。
公開法廷、様々な傍聴人の前で、この情状証人が法廷に登場した瞬間、 被告人号泣!!

今まで全然そんな感じじゃなかったんですけど・・・

「彼が戻ってきたら、俺がまた面倒見ます。」

反省したみたいです。
本当に反省したみたいです。

はじめは戻ってきても再犯可能性あるかなと思っていましたが、
今は多分再犯しないのでは!?と思います。

最終結果は、懲役2年半求刑で懲役2年の実刑判決
まっ、情状証人がいてもいなくても刑の重さは変わらなかったかもしれません。

この件で学んだことは、刑の重さには変わりがないかもしれないが、
被告人が裁かれる刑事裁判の場は、被告人が更正する絶好の機会!
いつ更正するの!?
今でしょ!ということ