前回の私の執筆回では、「教唆犯」をテーマにしましたので、今回は、「幇助犯」についてお話したいと思います。

幇助犯とは

幇助犯については「正犯を幇助した者は、従犯とする。」(刑法62条1項)と規定されており、従犯は、正犯(=実際に犯罪を実行した者)の刑を減軽するものとされております(刑法63条)。
「教唆犯」は正犯と同じ刑が科せられることからすると、幇助犯の方が、刑が軽いことになります。この点は、前回もお話いたしましたように、教唆犯は犯罪を実行する意思を持っていなかった者に犯罪を行わせたことの違いから生じます。

幇助犯が成立するには

幇助犯が成立するためには、正犯を①幇助すること、②それに基づいて正犯が実行行為を行うこと、主観面として③幇助の意思(故意)が必要です。

そもそも幇助とは

幇助とは、一般的には、正犯の実行行為を容易にさせる行為をいいます。その行為態様や制限はなく、正犯の犯罪行為を容易にさせる行為があることで「幇助」行為をしたものとされます。

ここで、過失によって幇助行為をしてしまった場合には、幇助犯が成立するのか、という議論があります。つまり、不注意でうっかりと、他人の犯罪の実行を容易にしてしまった場合にも幇助犯が成立するかという問題です。実務上は、この場合には、幇助犯は成立しないとされています。幇助犯が成立するには、あくまで他人の犯罪行為を容易にしているという認識(故意)が必要だからです。