今日は再度の執行猶予についてお話しさせていただきたいと思います。
 これから詳しく説明させていただきますが、再度の執行猶予は、執行猶予期間中に犯罪行為を行ってしまった場合に問題となるものです。
 知り合いなどに心当たりのある方は一度ご覧いただければと思います。

第1 執行猶予とは?

 では、そもそも執行猶予とはどういうものでしょうか?
「執行猶予」という言葉を聞いたことがない人はほとんどおられないかと思います。しかし、この意味をきちんと説明できる方は実は少数ではないでしょうか。
 執行猶予とは、有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予し、その間に罪を犯さないことを条件として刑罰権を消滅させる制度をいうとされています。簡単に言えば、執行猶予で言い渡した期間、刑務所に入れるのは待ってあげるよ、その期間何事もなく過ごせば、刑務所に入らなくていいようにしてあげるよという制度です。

 これを具体例で説明します。懲役1年6か月執行猶予3年の判決が言い渡されたとすると、本来1年6か月の間刑務所に入らなければなりません。しかし、3年の間その執行が猶予され、3年間犯罪行為を行わずに生活していれば、3年が経った時に、1年6か月刑務所に入らないといけないという罰が消滅する(=刑務所には入らなくてよくなる)ということになります。
 なお、執行猶予期間の経過により刑罰が消滅したとしても前科として残ることには注意してください。