第3 どのような時再度の執行猶予が認められる?

1 ①1年以下の懲役又は禁固の言い渡し

 まずは、懲役又は禁固が1年以下の判決をもらわなければなりません。ここで懲役と禁固の違いですが、懲役は刑務所における刑務作業が義務とされているのに対し、禁固はそれが義務とされていないものです(なお、希望すれば刑務作業に就くことができます。)。どちらにしても刑務所に入らなければならない点は同じです。
 したがって、一番軽くとも懲役1年を超える犯罪行為であれば基本的には再度の執行猶予を得ることは難しくなります。
 また、懲役1年以下も規定されている犯罪行為であっても、再度の執行祐の対象者はそもそも初犯ではなく再犯ですから、真摯な反省や被害者との示談といったような有利な事情がなければなかなか懲役1年以下にはならないことになります。

2 ②情状に特に酌量すべきものがある

 再度の執行猶予を得るにあたって、一番の難関になるのはこの要件と思われます。
 はっきりと基準があるわけではありませんので、こちらに有利な事情を可能な限り主張しなければなりません。
 では有利な事情とはどのようなものを指すのでしょうか
 具体的には犯罪行為自体が悪質ではないこと、被害者との示談を成立させること、親族や職場の上司等身近な人から今後監督してもらう旨の誓約をしてもらうこと、本人自身の真摯な反省(例えば、犯罪行為が病的なものに由来するものであれば、専門機関に通院するなど)といったような事情が考えられます。
 もちろん、これらの事情に限られるものではありませんので、弁護人に就かれた弁護士と入念に打合せを行うことが必要になります。

3 ③保護観察に付されていないこと

 この条件については、まさに前回の判決次第ということになります。
 そのため、前回の執行猶予判決の際、保護観察が付されていた場合には再度の執行猶予の判決を得ることはできませんことにご注意ください。

第4 最後に

 以上、簡単にではありますが、再度の執行猶予についてお話をさせていただきました。
 弊所では執行猶予期間中の方の弁護活動も数多く担当させていただいておりますので、身近に執行猶予期間中に犯罪行為をしてしまったような方がおられる場合には一度ご相談いただければと思います。