犯罪により有罪となった場合でも、前科がないなどの事情があり、言渡された刑が3年以下で情状に酌むべきものがあれば、執行猶予を認めてもらえる可能性があります(刑法25条1項)。執行猶予となれば、刑の執行を猶予され一旦社会に復帰し、猶予期間中何事もなければ、刑に服することはなくなります。

しかし、猶予期間中に再度犯罪を行い、有罪となった場合、執行猶予は取消となります(刑法26条)。そして、新たに犯した犯罪の刑に、猶予されていた以前の犯罪の刑を足して、その分服役することとなります。
このように、執行猶予中に再度犯罪を行なうことは、大変な結果を招くものです。

ところで、執行猶予中に再度犯罪を行なっても、再び執行猶予が付くことがあります(刑法25条2項)。この場合、条件は1年以下の懲役・禁固と1回目の執行猶予より厳しくなります。また、酌むべき情状についても、1回目の執行猶予よりも当然厳しくみられることとなります。制度としてはあっても、実際に認められる例は多くはないでしょう。

さて、最近、関西の方で覚せい剤事案に対し再度の執行猶予を付した判決が出されたとニュースで見ました。覚せい剤の再使用を防ぐために、保釈後被告人がきちんと病院で治療を受けるなどの努力を払い、病院の医師や証言や家族の支えなども参考とされたようです。

余談ですが、そのニュースで名前の出ていた覚せい剤治療の病院が、私の地元にある病院でした。何か故郷を思い出して懐かしい気持ちになるとともに、「あの病院、そんな治療もしていたのか。」と少し驚きもしました。