こんにちは。自動車での交通事故で裁判が行われるという話を聞いたことがあるかと思いますが、今日は交通事故と刑事罰についてのお話をします。
従来交通事故で被害者にけがをさせてしまったり、死亡に至らせてしまった場合には、刑法第211条の業務上過失致死傷罪が適用されてきました。
しかし、飲酒運転などの悪質な自動車事故により大切な家族を失ったり、多くの被害者が出てしまう事故が増加し、厳罰を科すべく、平成19年自動車運転過失致死傷罪が刑法に新設されました。
そしてその後も上記のような悪質な運転による交通事故は後を絶たないため、刑法の特別法として自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」といいます。)が新設されて過失運転致死傷罪が設けられました。
自動車運転処処罰法第5条は、
「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」
と規定しています。
「懲役」とは、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる(刑法第12条第2項)と規定されています。
「禁錮」とは、刑事施設に拘置する(同法第13条第2項)と規定されています。「懲役」と「禁錮」の違いは、「所定の作業を行わせる」か否かということになります。
このように、交通事故について行政罰以外に刑事罰が課されることがあるように、刑法に規定されている犯罪でなくても、刑法の刑事罰が課されることがあるのです。