先日、「家族が逮捕された!」との相談が緊急で入りました。
前夜、飲酒検問で引っかかってしまったのに、本人が否認していて、
そのまま逮捕されてしまった、というような概要でした。

酒気を帯びていたかどうかは、呼気検査により一発で分かってしまいます。
道端でよくやっている「機械に息を吹き掛ける検査」は、呼気にアルコールが含有されているかどうかを簡易にチェックする機械なので、証拠としても残ることはないのですが、そこで引っかかってしまうと、ビニール袋に深呼吸した息を全て吹き込ませて、そこに含まれるアルコール量をガス検知管でチェックする、詳細な検査を行われることになります。「風船」と言われるやつです。

検知管での検査は、身元確認を行った上、人違いがないことを本人に確認させて、厳密に保管されることになっています(最近はちょくちょく取り違えなどがニュースになっていますので、100%信用できるかと言われれば疑問が残るところですが・・・)。
そのため、検問からの呼気検査を経て酒気帯びと判定されれば、基本的には争いようがない事案であると言っても過言ではありません。

そうすると、弁護士としてすべきことは2つ。

一つは、本人から、否認している理由をきちんと聴き取ること。
たとえば、少し前に話題になった「スピリタスカプセル」を混入されたなど、本人が全く飲酒したという認識がないままに自動車を運転し、捕まってしまっているとしたら、飲酒運転の故意がないとして争わなければならない。
もう一つは、仮に「本当は飲酒運転したこと自体について自分では分かっているんだけれども、自白したくない理由がある」場合に、それへの手当を早急にしてあげることです。

いずれにせよ、対応は急を要します。
逮捕された後は、48時間以内に検察庁へと身柄が送致され(俗にいう「ヨンパチ」)、そこで勾留請求がされてしまうと、10日間ぐらいは警察から出てくることができなくなってしまいます。
上述のとおり、飲酒運転自体は、あまり争う余地がある事案ではありません。
そうすると、本人が被疑事実を認めていれば、本来は身柄を拘束して取調べを行わなければならないような事案ではないはずです。
本人が実は飲酒運転の事実を認めている場合は、捜査官に自白したくない理由となっている事情を取り除いてあげて、検察官に対し、勾留請求を行わせないように働きかけを行い、一刻も早く身柄の開放を求めていく必要があるのです。

ともあれ留置されている警察署へ急行。
逮捕状の執行から時間を置かずに接見することができました。
本人は、これを認めてしまうことで免許証が飛んでしまうことが怖かった様子。

その後の詳細は個人的な事情にもかかわるので省きますが、とにかく早期の接見が功を奏した結果となった事案でした。

身内が逮捕されたら、誰でも気が動転して、どうすればよいか分からなくなるのが普通だと思います。

何を措いても、まずは弁護士に相談してください。

その一手をどれだけ早く打てたかで、その後の展開が大きく変わってくる可能性があるのです。