先日、自動車の運転手や同乗者含めて5人の方が亡くなられるという、大変痛ましい事故がありました。
 警察からの発表はまだないようなので、確定的なことは言えませんが、おそらく、車の運転手の方が、過失運転致死罪で書類送検されるのではないかと思います。
 「書類送検」とは、被疑事実の捜査にあたった警察が、被疑者を逮捕・勾留せずに、捜査書類等と一緒に事件を検察官に送致することをいいます(法律用語ではありません)。

 亡くなっているのに書類送検?と疑問をお持ちの方がいらっしゃいますでしょうか。
 刑事訴訟法246条には、「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。」と規定されており、警察官は、一定の軽微な事件(「微罪事件」といいます。)を除き、全ての事件を検察官に送致することを義務付けられています(これを「全件送致主義」といいます。)
 したがって、被疑者が亡くなった場合であっても、警察官は、原則として事件を検察官に送致することになります。

 もちろん、書類送検がされたとしても、被疑者が亡くなっている場合には刑事裁判は行われませんので、書類送検後、被疑者死亡を理由として、不起訴処分となると思われます。