こんにちは、弁護士の坪井です。
 本日は、夫が妻を殴ってけがをした場合、すなわちDVが起こった場合に刑事事件になっていくことについてご説明します。

DVに当てはまる犯罪

 夫が妻を殴って怪我をすれば、夫が「暴行はふるったけれど怪我までさせるつもりはなかった」と言っても、暴行の故意があって傷害の結果が生じれば、傷害罪になり、その結果、死に至れば傷害致死罪の責任を問われます。但し、怪我がない場合には、暴行罪の責任を問われます。

 また、肉体的な暴行によらずとも、精神的な暴力によって、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の状態に至ったときは、傷害罪となります。
 ですので、妻が暴力を受けた場合には、妻は告訴することを考えるべきです。通常、DVは室内で行われるため、よほど大怪我をして病院に運ばれでもしない限り、明るみに出ることはありません。
 告訴は、被害に遭った事実を申告するだけの被害届以上に「加害者について刑事処分を求める」という積極的な意思を示すものです。告訴を行うことによって初めて明るみに出ることは多々あります。
 但し、告訴がなされ、告訴受理により警察が捜査を開始し、嫌疑が固まり起訴猶予事案でなければ、公訴が提起されますので、夫が犯罪者となる可能性があることは覚悟する必要があります。