犯罪による直接の被害者は、告訴することができます(刑事訴訟法230条)。そして、告訴とは、検察官または司法警察員に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。告訴がされている場合、被疑者にとしては被害者と示談して告訴を取り下げてもらうことが極めて重要になります。特に、親告罪の場合には、告訴が公訴提起の要件となっており、告訴を取り下げてもらえれば、処罰を免れることができます。親告罪でなくても、被害者自身が取り下げ、処罰感情がなくなっていることからすれば、不起訴になる可能性もあります。少なくとも被告人に有利な事情になります。

では、いつまでに告訴の取り下げをしてもらえるように示談をまとめる必要があるのでしょうか。

刑事訴訟法237条に「告訴は、告訴は公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」とあり、公訴提起の後には告訴を取り下げることはできません。公訴提起の後は、被害者がいくら処罰してほしくないと考えても、刑事裁判を止めることはできないのです。
このように、同じ示談をするのであれば、できるだけ早く、なんとしても公訴提起までに示談を成立させ告訴の取り下げをしてもらわなければなりません。親告罪であれば、告訴の取り下げがされるか否かでは天と地ほどの違いがあるといえます。

示談といっても、窃盗や傷害といった損害を金銭に見積もることが容易な犯罪であれば示談も比較的容易ですが、性犯罪について告訴までしている被害者と示談することは容易ではありません。極めて高額な示談金を支払えるのであれば別かもしれませんが、時間をかけて真摯に謝罪し、被害者に許しを請わなければいけません。逮捕、拘留されている場合には、身柄拘束期間が法定されており示談にかけられる時間は決して長くはなく、できるだけ早く示談の話を始めなければいけません。逮捕、拘留されていては自分で謝罪に出向くことはできない以上、弁護人に頑張ってもらうしかありません。違法な捜査や不利な調書の作成を防止すべく、早期に弁護人の助けを借りることも重要ですが、示談交渉を早期に始めるためにもできるだけ早く弁護人を付けることが重要になってきます。