さて、前回は刑務所の収容区分を紹介しましたが、収容区分にあったA級施設の中でも、通常のA級施設と違う施設があるのを知っていますか。スーパーA級(そんな分類は現実には存在しません。)と言われ諸条件をクリアした受刑者が収容されるPFI刑務所です。PFIとは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、 経営能力及び技術的能力を活用して行う方式の施設であり、現在のところ、全国に4施設しかありません。その場所は美祢(山口県)、播磨(兵庫県)、喜連川(栃木県)、島根あさひ(島根県)となります。
日本初のPFI刑務所である美祢社会復帰促進センター(山口県)を見学してきましたので簡単にその時の様子を書きます。
まだ、できたばかりの施設と言うことで、見た目もきれいで周りは高い壁ではなくフェンスで囲まれています。ロビーには一般の方も利用できる食堂があり、その食堂では受刑者が食べているものと同じものを食べることが出来ます(数量限定で、お得な値段で食べられますので是非一度ご賞味を)。
受付を済ませると、金属探知機で危険物を持っていないか等の厳重なチェックを受けて所内に入ります。職員さんの案内で所内の見学をしていると、前から受刑者が一人で歩いてこちらに向かってくるではありませんか。
私は一瞬逃走?と目を疑いましたが、受刑者が職員さんに頭を下げあいさつをしています。
ここが、従来の刑務所と違うところの一つの特徴です。これまでの、刑務所は受刑者が移動するたびに、刑務官が一人以上連れて歩きます。しかし、PFI刑務所は受刑者の独歩を許可しその動きについて監視室で把握しています。受刑者・刑務官・従業員・来訪者の全員が所内に入る際、ICタグを身に付け、どこに誰がいるのかをリアルタイムで監視できるシステムとなっているからです。では、ICタグを置いて逃げられるのではと考えてしまいますが、受刑者のICタグが一定時間動かなかった場合、アラームが作動し監視室に通報される仕組みになっています。また、施設周辺に張り巡らされているフェンスには防犯センサー等が張り巡らされています。フェンスを登って逃走を図るとセンサーが反応し、職員が一斉にその場所に向かいます。これがオリンピック選手並みに早い。また、フェンスも登れないように網目が小さく手や足が掛けられないようになっています。逃げ出せるような状況ではありませんでした。そもそも、逃げようとする受刑者自体が収容されませんが。
所内でもいくつかの違いがあります。定められた時間は自由に居室と多目的ホールを出入りでき、窓ガラスに鉄格子はありません。強化ガラスでできており、開所前に試しにテレビで窓ガラスを割ろうとしたら、テレビの方が壊れたとか・・・。
さて、PFI刑務所についてまだまだ書きたいことがあったのですが、文章が長くなってしまうので、次回更新でPFI刑務所第二弾を書きますので、よろしくお願いします。
元矯正職員