こんにちは。今日は、共犯者や関係者との連絡や相談についてお話ししようと思います。
刑事事件において、広い意味での共犯者がいる犯罪はたくさんあります。
誰かと一緒に一つの犯罪をした場合、例えば、何人かで暴行し、人を傷つけてしまったような場合や、見張り役、道具調達役、実行犯など数人で役割分担をして強盗をしたような場合はもちろん共犯となります。
そのほか、薬物犯罪では、入手先、転売先なども広い意味での共犯にあたることが多く、密接な関係を有しています。
私たち弁護人がしばしば悩まされるのが、この共犯者や関係者との連絡や相談についてです。
仲間が捕まってしまった場合、警察が捜査をしているという情報を入手した場合、多くの犯罪者は、共犯者と連絡を取り、どうにかごまかせないか、逃げ切れないか、先に捕まった人間はどこまで話したのか、素直に認めようか、等と対応を相談するでしょう。自分がこれからどうなってしまうのか、不安な気持ちは理解できますし、ごく自然なことだと思います。
ただ、このような行動は後から「証拠隠滅行為」や「口裏合わせ」とみられる危険性が大いにあります。(そして、多くの場合、犯罪者はそのような事を実際にやってしまっています。)
犯罪をした当時は「仲間」でも、それぞれの利害関係が対立していることも多く、一旦事件が発覚してしまった後は、「罪のなすりつけ合い」や「責任転嫁」に走る人もたくさんいます。
大変難しいことだとは思いますが、捜査が始まった後は、共犯者や関係者とは出来る限り連絡を取らず、犯罪を介した人間関係が本当の「仲間」なのか、よくよく考え、今後の自分のために、悪い関係を断ち切る勇気も必要なのではないでしょうか。
弁護士 井上真理