さて、少年審判について詳しくお分かりになる方は多くはいないと思います。非公開で行われるため、実際に体験された方又は自分のお子さんが審判を受けた方以外は詳細は分からないですよね。
少年審判は家庭裁判所で行われる非行を犯してしまった少年の処分を決定するための手続きであり、成人でいう公判になります。(ただし、処分されない場合もあります。)
鑑別所に収容されている少年の審判の場合、鑑別所職員の出番となります。鑑別所に収容されている少年は鑑別所職員に連れられて家庭裁判所へ出向きます。家庭裁判所の本庁は近場だと鑑別所から10分も掛からない場所にありますが、○○家裁○○支部等になると片道で1時間以上かかる場合もあります。その移動は、鑑別所の車で移動しますが、道中に少年の審判を妨害するような邪魔や、また、少年院送致の可能性が高い少年は審判を受けさせないように妨害を受ける場合もあります。道中の危険だけでなく、審判後(特に少年院送致が決定した少年)に暴れる恐れもあります。非常事態に対応できるように気を張っていなければなりません。
また、世間の耳目を集めた事件になれば少年のプライバシーに配慮するため、マスコミ対策等行う必要があります。少年審判に連れていくだけでも、1人の少年に最低2人の職員(自動車を運転する職員は除きます)が必要となります。
直近では鑑別所に収容されるために家庭裁判所の職員に連行されていた少年が、職員の眼前から手錠をしたまま逃走した事案が発生しています。このような状態となった場合、裁判所職員、鑑別所職員総動員で捜索し、警察も動きます。今回の件では、実際に6時間後に警察によって身柄を拘束されました。原因等については詳しくは書きませんが、再発防止をしてもらいたいですね。
※では、ここで豆知識(手錠使用について)
刑事施設(成人・少年ともに)では、皆さんもご存じのとおり手錠の使用が認められています。テレビドラマや映画のように「カッチャン」と手錠を掛けるのかと思われがちですが、そのように勢いよく掛けることはありません。まず、勢いよく手錠を掛けると、最悪骨折する場合があるので絶対にそのような使用はしません。また、ロックを必ず掛ける必要があります。ロックをしないと手錠が外れてしまう場合があるのと、手をゴソゴソと動かすとどんどんと締まっていき、手首を圧迫していくからです。
他にも細かな条件をクリアしないと使用できない等、厳しい条件があることを理解してもらえたらと思います。
元矯正職員