刑務所の入浴はどのようになっているのでしょうか。皆さんは毎日欠かさず入浴をしますよね。しかし、毎日入浴したくても出来ない状況にあるのが刑務所や拘置所などの矯正施設です。

 毎日数百人が入浴をすると、水道代やガス代だけでもバカになりません。ということで、「刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則第25条」に1週間に2回以上入浴させることと記載があります(所内の規律を破り閉居罰を受けたものは週に1回以上との定めがある)。刑務所の入浴は週に2回又は3回となります。

 なお、夏場は作業や運動で汗をかく機会が増えるため、入浴の回数が増やされる場合や作業や運動の後にシャワーを浴びる機会を与えていることが多いようです。

 刑務所の浴場は銭湯みたいになっており、数十人と大人数での入浴を行います。シャワーも数十人が使えるようになっています。皆さんが入浴される時みたいにゆっくりできるわけではありません。一人一人の間隔が狭く隣の人にぶつかってしまうくらいの場合もあります。

 では、入浴時間はどのくらいでしょうか。この記事を読まれている方はご自宅や銭湯で長い方であれば1時間以上入浴される方もいると思いますが、矯正施設での入浴時間は15分となります。この間に洗髪、洗体、髭剃り(現在は電気カミソリを使う施設が多いため居室で行っている場合も有)をして湯船に浸かるまでを行わなければなりません。多くの施設では、浴場にタイマーが設置してあり、ブザーが鳴り残りの時間(10分、5分と)を知らせる仕組みとなっています。

 皆さんは入浴をする際にシャンプー、リンス―(コンディショナー)、石鹸(ボディーソープ)を使われているかと思います。現在の収容施設では皆さんと同じようにシャンプー等を使っています。しかし、私が矯正施設で勤務をする以前の話だとのことですが、石鹸オンリーで頭から体まで全てを洗っている時期があったとのこと。

 とここで、内容がなくなってきたので勤務中にあった事件。
 詳細は書けませんが、概要だけを少し。とある中規模な施設で入浴の立会をしていました。「入浴始め~」の号令で入浴が始まり15分が経過しそろそろ入浴時間が終わろうとした頃・・・。風呂場に響き渡るドーンという大きな音。なんと、受刑者がのぼせて倒れていたのでした。すぐに医務室に運び治療した結果、事なきを得ました。受刑者の治療とこの混乱に乗じて規律を破ろうとすると者が出てくるため、両方を同時に行う必要があります。このように矯正施設の仕事はかなり体力・気力が必要となります。少しでも理解して頂ければありがたいです。

元矯正職員