交通事故の被害者にとって破産という事故そのものとは別の事情によって賠償が受けられないというのはあまり酷であるという価値判断が入る余地があります。そこで、16条1項の被害者請求権は存続するという考え方やこの権利ついても保険法22条の適用の対象となり優先的に支払いを受けられるから問題は生じないとする考え方があります。

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参考文献
小野瀬昭『交通事故の当事者につき破産手続開始決定がされた場合の問題点について』判例タイムス1326号62頁