2 損害賠償請求権の帰すう

(1) 自動車以外(自転車等)の場合

ア 加害者が任意保険に加入していない場合が問題です。

 交通事故による損害賠償請求権は、民法上では被害者の加害者に対する不法行為に基づく損害賠償請求権とみられます。破産手続では最終的に申立てを受けた裁判所が破産者の借金等について免責を与えてもよいか否かを判断することになりますが、「借金等」というのは正確にいえば破産者が負っている債務全般を指しますので、交通事故の加害者が破産者となる場合には、その加害者は被害者が有する損害賠償請求権を債務として負っている状態となり、この債務も免責の対象として扱われることになります。

 一応、被害者の生命又は身体に対する損害について、加害者に故意又は重過失がある場合には非免責債権として扱われる(破産方253条1項3号参照)可能性がありますが、全ての交通事故がこれらの要件を充たすとは限らず、被害者が涙を飲まざる得ないケースが出てくるでしょう。