こんにちは。今回は、自賠責保険の保険金請求手続の消滅時効についてご説明したいと思います。自賠責保険の保険金請求手続には、加害者請求、被害者請求、一括払制度の3つの手続があります。

 加害者請求とは、加害者が被害者に対して損害賠償を行った後、加害者から自賠責保険会社に対して請求する制度で、被害者請求とは、被害者が直接自賠責保険会社に対して請求する制度です。一括払制度とは、任意保険会社が被害者に対して自賠責保険と任意保険金の合計額を支払い、その後に任意保険会社が自賠責保険会社に対し自賠責保険を請求する制度です。

 加害者請求の請求権は加害者が被害者に賠償金を支払った日から3年(自賠法23条・保険法95条)、被害者請求は傷害による損害賠償請求権は事故発生の翌日から3年、後遺障害による損害賠償請求権は症状固定の日の翌日から3年で(自賠法19条)、一括払制度の請求権は任意保険会社が被害者に賠償金を支払った日の翌日から3年で(自賠法19条)時効消滅します。

 加害者請求については被害者に賠償金を支払った後3年間も放置することは考え難く消滅時効を気にする必要は特にありません。また、一括払制度については任意保険会社の請求権であるので本ブログをご覧の方々が消滅時効を気にする必要はありません。

 注意して頂きたいのは、被害者請求の消滅時効です。交通事故の損害賠償においては賠償額について示談がまとまらずに時効期間が経過してしまう場合があるからです。

 加害者が任意保険に加入しておらず、自賠責保険にしか加入していない場合には、時効完成までに時効中断申請書を自賠責保険会社に提出し、時効を中断しておく必要があります。