この点について、従来、最高裁は、

「同一被害者が複数の交通事故により死傷したが、複数の事故の間に時間的・場所的に近接性がない場合、各事故に客観的関連性がなく、各加害者は共同不法行為者とはいえないから、共同不法行為は成立しない」

と考えています。

 すなわち、第2事故が生じた後の治療費、休業損害や慰謝料等について、第1事故と第2事故のどちらの損害であるかということを逐一分けて処理しなければならないことになります。同一部位の事故であれば、そのようなことは不可能ですね。
(ただし、横浜地判平成21年12月17日では、約3カ月で3事故にあった場合、それぞれを単独の不法行為としたうえで、それぞれの事故の寄与度を5:3:2と認定して、それぞれの事故に対する損害額をざっくり認定しました。)