1 はじめに

 弊所にご相談にいらっしゃる方々の話を聞いていると、やはり弁護士は紛争が起きた時に頼む人というイメージを強く持たれているように感じます。ですが、たとえ紛争が起きていない段階であっても、弁護士が介入するメリットが大きい場合もたくさんあります。

 今回は、当事者間で揉めていない交通事故を例に、弁護士が介入する金銭的メリットを紹介したいと思います。

2 損害額の算定基準が弁護士と保険会社では違う!

 多くの方は自動車保険(任意保険)に加入していることと思いますので、交通事故が発生した場合、被害者・加害者双方の保険会社同士で損害賠償額について示談交渉をすることになります。当事者間に事故態様や過失割合について争いがない事故については、通常、この保険会社同士の交渉で損害額が決まり、事故処理は終わってしまいます。

 実は、この保険会社同士の交渉で損害額が決まる、という点が問題なのです。それは、損害の算定基準は、大きくわけて、①自賠責保険の基準、②任意保険の基準、③裁判所の基準(民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)、いわゆる「赤い本」による基準。)と3つあり、同じ怪我であっても①②③の順に損害額が高額になることに起因します。つまり、弁護士が介入している場合には、一番高額な③裁判基準に基づいて交渉ないし訴訟をするのですが、他方で、弁護士に依頼していない場合、両保険会社は①自賠責保険ないし②任意保険の基準に基づいて損害額をまとめてしまうので、弁護士が介入しなかった場合に比べて、単純に損害が安く見積もられてしまう可能性が高いのです。

3 具体的例

 上記①ないし③の基準で異なってくるのは、具体的には入通院慰謝料と後遺症慰謝料です。

 例えば、頸椎捻挫で通院期間3カ月(入院なし)、実通院日数30日という場合、保険会社が使う①自賠責基準では入通院慰謝料は12万6,000円(日額4,200円として、実通院日数30日分)であるのに対し、弁護士が使う③裁判基準では53万円(赤い本の別表Ⅱの通院3か月で算出)となります。また、②任意保険の基準については、公表はされていませんが、概ね③裁判基準の7割くらいであるとされているので、約37万円となるでしょう。

 このように、同じ症状であっても、①自賠責基準・②任意保険基準であれば、12万6,000円・約37万円ですが、弁護士が介入すれば53万円と、16万円~40万4,000円もの差が出てしまうのです。

4 まとめ

 以上のように、弁護士が介入することで、損害額の増額が見込めるわけですが、その分の弁護士費用がかかることを心配なさる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、多くの方は、自動車保険とともに弁護士費用等補償特約も結んでいらっしゃるかと思うので、その場合は、基本的に300万円の範囲内であれば、弁護士費用はご自身が加入している保険会社の負担になりますので心配は不要です。

 是非、弁護士費用等補償特約がある方は、事故態様等に争いがない場合であっても、積極的に弁護士を起用して頂ければと思います。また、同特約がない場合であっても、賠償額の増額見込みに照らし、弁護士に依頼するメリットがある場合も当然ございますので、まずはご相談下さい。

 当事務所には、交通事故に関する問題を多数扱っている弁護士がありますので、お気軽にご相談下さい。
 当事務所の横浜支部は、横浜駅きた東口Aから徒歩7分のところにあります。横浜支部までの道順が分からない場合、ご案内致しますので、お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

弁護士 森 惇一