今日は交通事故で認められる後遺障害、その中でも膝の動揺関節についてお話しします。

第1 動揺関節とは

 動揺関節とは、間接の安定性機能が損なわれ、間接の可動性が正常より大きくあるいは異常な方向に運動可能になったものをいいます。簡単に言えば、関節がグラグラして安定しないため、サポーターを着用していなければ日常生活に支障が出てしまうような状態のことです。

第2 動揺関節の後遺障害等級該当性

 膝の動揺関節は下肢の機能障害にあたりますが、症状固定後に残存する症状によって以下の後遺障害等級に該当する可能性があります。

8級  常に硬性補装具を必要とするもの
10級 時々硬性補装具を必要とするもの
12級 重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの

 このような後遺障害等級が認定されるにあたっては、ストレスXPテスト等の検査を行うことにより動揺性の程度が証明されなければなりません(その他には靭帯損傷の画像での裏付けや装具の必要性等、証明しなければならない事項はありますが、ここでは省略します。)。
 ストレスXPテストとは、器具等で該当箇所に圧力をかけ、人体の損傷によって生じる骨のずれをあえて生じさせた状態でレントゲンを撮影する検査をいいます。

第3 後遺障害等級認定にあたって

 上記のような後遺障害等級に該当するか否かの判断がなされるにあたっては担当医師の作成する後遺障害診断書が重要な資料となります。
 そのため、後遺障害診断書の作成は「この患者様にはどの程度の後遺障害等級を認定されるべきか」という観点から作成されるべきものですが、医師がその点を重視することなく診断書を作成していることも多いのが実情です。