1.はじめに

 皆様、こんにちは。
 今日は、事故を起こした加害者に対する刑事処分について見ていきたいと思います。

 交通事故が発生した場合、行政処分の問題刑事処分の問題損害賠償請求の問題の大きく分けて3つの問題が生じます。例えば、免許取り消しの処分がなされる(行政処分)、刑事裁判にかけられる(刑事処分)、被害者が加害者の加入する任意保険会社などの加害者側に対して慰謝料等の損害の賠償を求める(損害賠償請求)などということです。

 そこで、今回は、加害者に対する刑事処分として、どのようなものがあるのか見ていきましょう。加害者が成人であるか、未成年であるかで、刑事手続の流れも変わってきますが、今回は成人に対する刑事手続を取り上げます。

2.警察の捜査

 交通事故が発生して人身事故の届出がなされれば、基本的には、警察は、当該事故の発生について過失がある運転者を被疑者として捜査を行います。警察が行う捜査としては、事故現場での実況見分や、被疑者の取り調べなどがあります。  その後、警察は、捜査資料や証拠などとともに被疑者を検察庁に送ります。

3.検察官の処分

 検察庁では、必要に応じて追加の捜査がなされ、検察官が被疑者に対する処分を決定します。検察官の処分は、①不起訴処分、②略式起訴、③公判請求という3つに分けられます。

①不起訴処分とは

 被疑者の過失を立証できない場合(嫌疑不十分)や、立証できるとしても過失の程度が軽微などの理由から処罰をする必要のない場合(起訴猶予)などによりなされます。不起訴処分になれば、被疑者が刑罰を受けることなく刑事手続は基本的には終了します。ただし、不起訴処分に対して、不服のある被害者の方は、検察審査会に審査を求めることも可能です。

②略式起訴とは

 交通事故の態様等からして被疑者に対する処罰として罰金が相当であると検察官が判断し、被疑者もかかる処分に異存がないときに、検察官が裁判所に対して略式命令の申し立てをするというものです。略式命令の申立てがされた場合、裁判所は、以下の③で述べるような正式の裁判手続を省略して、書面審査という簡単な手続で加害者に罰金の刑罰が与えられます。

③公判請求とは

 皆さんご存知のいわゆる裁判の中で、裁判所に対して、加害者の有罪・無罪、有罪の場合の刑罰の種類や程度の判断を求めるものです。

4.最後に

 今日は、加害者に対する刑事処分を取り上げました。交通事故の加害者になれば、上記のような刑事処分を受けることになりますので、くれぐれも注意して運転していただきたいものです。