交通事故を起こし相手にけがをさせた場合に、運転者には、民事的責任、刑事的責任、行政処分の3つが発生することはご存知だと思います。今回は、行政処分、特に免許取消処分の流れについて、書きたいと思います。

 ①交通事故の際の交通違反の内容、被害者のけがの程度に応じて、減点数が規定されており、この規定に応じて減点処分がなされます。減点累積点数が一定数を超えれば、免許停止、免許取り消し処分がされます。

 例えば、救護義務違反(いわゆるひき逃げ)の場合であれば、救護義務違反35点減点となり、被害者の怪我の程度により減点数が加算され、少なくとも免許取消しとなります(欠格期間3年)。

 ②処分内容がきまれば、公安委員会より聴聞会への呼び出し状が自宅へ郵送されてきます。

 ③聴聞会へ出席します。
 聴聞へ出席し、言い分を伝えます。その際、口頭でも構わないですが、「弁明書」等の書面と合わせて資料を提出することができます。
 仮に欠席すれば、なんら言い分を聞いてもらず、処分がなされます。

 ④処分通知
 処分は、聴聞会を終えた後、その日に伝えられます。そして、その場で免許証を提出し、以後、運転すれば無免許運転となります。

 以上のような流れで、免許取り消し処分がなされますが、毎日多くの処分を下している審判官は個別の事案について詳しく検討しているとは思えません。主に、過去の交通違反記録、刑事事件の資料、例えば、警察や検察で話した供述を録取した供述録取書、実況見分調書等の捜査記録をみている程度でしょう。刑事責任を軽くするため、認めた内容が、行政処分で不利益に働くことになってしまいます。
 難しいところです。