こんにちは。
 今回は、交通事故を起こした方に行われる行政処分の概要をご説明します。

 交通事故に関する行政処分とは、道路の交通の安全を確保するという目的のために、公安委員会が行うものであり、免許の取消しや停止が代表的なものです。行政処分は、裁判所が制裁として科す刑事処分(懲役刑や罰金刑)とは全く異なる処分ですので、刑事訴追の有無や刑事裁判の結果にかかわらず行われます。

 行政処分という言葉を聞くと、一般には“点数が引かれる”というイメージを持ちますが、この点数制度はあくまで行政処分を行うかどうかの条件というような性質のものであり、一定の累計点数に達した場合に行われる免許の取消処分や停止処分そのものが行政処分に当たります。

 そこで、代表的な行政処分である免許の取消処分と停止処分についてご説明します。

 免許の取消処分及び停止処分とは、免許を受けた者が、免許を受けた後に自動車等を運転する適格性がないと認めるべき事由が生じた場合に、その事由の態様に応じて免許の効力を将来にわたって失わせる処分(取消処分)または6ヵ月を超えない範囲で免許の効力を停止する処分(停止処分)と定義されます。

 この免許の取消処分と停止処分がどのような場合に行われるかは、道路交通法第103条第1項に規定があり、これによると幻覚を伴う精神病や発作により意識障害等をもたらす病気を患っている方や、認知症を患っている方、目が見えない方、アルコールや麻薬等の中毒者である方は、累積点数に関係なく免許の取消処分や停止処分が行われるものとなっています。

 そして、上記のような事由に該当しない場合であっても、自動車等の運転に関し道路交通法の規定や道路交通法の規定に基づく命令等に違反した場合にも、免許の取消処分や停止処分ができるとされており、この判断にあたって点数制度が処分をするための基準として採用されています。

 具体的にどのような場合に点数が加算されるかは、紙幅の都合上ご紹介することはできませんが、過去3年間の累積点数と、過去3年間に免許の停止処分等を受けた回数(前歴回数)に応じて、取消処分及び停止処分の別や取消処分後に再度免許の交付を受けられるようになる期間(欠格期間)の長短が変わってきます。

 行政処分は、交通事故により生じる民事責任や刑事責任に比べて、軽視されがちな印象がありますが、長期間にわたり自動車等を運転できなくなることや再び免許を取り直さなければならないという不利益を考えると、とても重大な処分であると言えます。

 交通事故を起こしてしまうと、このような重大な不利益も被ることになるということを念頭にすえて、日ごろの安全運転をこころがけましょう。

弁護士 古関俊祐