1.はじめに

 皆様、こんにちは。
 今日は、交通事故の被害者の方が接骨院で柔道整復師の方に施術を受ける際に気を付けたいポイントについて検討したいと思います。

 被害者の方として、整形外科を受診する際に長時間待ち時間を要することへの不満や、整骨院の方が夜遅くまでやっているなど時間に融通が利くこと、施術を受けるとその直後痛みが和らぐこと等を理由として、接骨院での施術を受けられることがあります。
 そこで、今回は、接骨院へ通院する際に、気を付けたいポイントを見ていきましょう。

2.柔道整復師ってどんな人?

 まず、ご存じの方も多いとは思いますが、接骨院にいらっしゃる柔道整復師の方がどのような方か見ていきましょう。

 柔道整復師は、厚生労働大臣の免許を受けて柔道整復を業とする者ですが(柔道整復師法2条)、「柔道整復」の内容について法律上定義されているわけではありません。ただ、柔道整復とは、打撲、捻挫、脱臼、骨折の外傷に対して外科手段、薬品の投与等の方法によらないで応急的もしくは医療補助的方法によりその回復を図ることを目的として行う施術をいうと考えられています(長野地裁松本支部判決昭和47年4月3日参照)。

3.治療期間中の注意!

 基本的には、整骨院での施術を受けることについて医師の指示を受けたほうがよいとされています。
 ただ、交通事故に遭った被害者の方として、主治医の指示なく整骨院での施術を受けられる方もいらっしゃると思います。

 整骨院での施術につき医師の指示がない場合でも、

① 施術の必要性(施術を行うことが必要な身体状況にあったこと)
② 施術の有効性(施術の結果としての症状緩和の有無等)
③ 施術内容の合理性(症状と部位との一致等)
④ 施術期間の相当性
⑤ 施術費の相当性

を充たすような場合には、整骨院での施術費について交通事故に基づく損害として請求できるというように考えられています。

4.最後に

 整骨院への通院については、保険会社もある程度黙認して整骨院から請求される施術費(通常は健康保険を使っておらず、自由診療扱いとして、その施術費も高額になることがあります。)の支払に応じている場合もありますが、他方で、施術費が高額である等などから途中で支払いを拒む場合もありますので、整骨院で施術を受ける際には、医師の指示や①~⑤などを頭の片隅にでも置かれるとよいと思います。

 ご心配な場合には、弁護士に相談されるのがよいでしょう。