数日で真夏から一気に秋へ変わってしまいましたね。30度を超える猛暑からいきなり20度を切るのですからやっぱり異常気象ですね。とはいえ、涼しくなって、ほっとしている方も多いのではないでしょうか?

 さて、今回から離婚時年金分割の実務上の留意点について解説します。

 年金分割制度の対象となる被用者年金の種類は

① 厚生年金
② 国家公務員共済年金
③ 地方公務員共済年金
④ 私立学校教職員共済年金

の4つがあります。

年金分割事務の取扱機関(相談窓口)は、

① 厚生年金については、全国の社会保険事務所
② 国家公務員共済年金については、現在勤務している各省庁の共済組合(退職後は、国家公務員共済組合連合会年金相談室)
③ 地方公務員共済年金については、現在所属している、又は過去に所属していた共済組合
④ 私立学校教職員共済年金については、日本私立学校振興・共済事業団共済事業本部広報相談センター

となっています。

 転職によって一人で複数の被用者年金に加入したことがあるという場合、年金分割は、各々の年金ごとに行うことになります。

 年金分割に関する情報提供は、当事者の双方または一方から請求することができます。現在離婚しているか否かにかかわらず請求することが出来ます。当事者双方が共同で情報提供の請求をすると、双方に回答が通知されます。当事者の一方が単独で情報提供の請求をした場合、婚姻中は、請求者のみに回答が通知され、離婚後は、他方の当事者からも情報提供の請求があったものとみなして当事者双方に回答が通知されます。

 提供される情報には、次のものがあります。

① 按分割合の範囲
② 対象期間
③ 第1号改定者の氏名と対象期間標準報酬総額
④ 第2号改定者の氏名と対象期間標準報酬総額
⑤ 50歳以上の人は、希望すれば年金分割を行わない場合、及び50%
又は希望する分割割合で分割したときの年金額と年金を受けられる年齢

 年金分割に関する情報提供制度の詳細については、社会保険事務所等に照会してください。

弁護士 石黒麻利子