1 はじめに

 こんにちは、弁護士の平久です。
 今回も前回に引き続き、不動産の財産分与についてお話しいたします。今回は、建物の敷地の利用権がテーマです。

2 借地権

 土地と建物が同一人物の所有であれば問題ありませんが、別人所有の場合、建物はその敷地なくしては利用できませんので、当然敷地の利用権を設定する必要があります。皆さんも良く耳にする借地権がその代表的なものです。

 借地権とは、借地借家法で、「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」(2条1号)と定義されています。借地権は、民法上の賃借権と比べ、存続期間が最短30年間と伸長されている(同法3条)、正当理由がない限り、期間満了による更新拒絶が認められない(同法6条)、建物買取請求権が認められる(同法13条)などといった有利な点があります。そのため、借地権は、所有権ではないものの、土地の価値の6割から7割を占めるとも言われており、重要な財産と言えるでしょう。

 そこで、財産分与の対象として、借地上の建物が存在する場合には、借地権の価値も含めて評価することになります。

3 使用借権

 一方、土地の利用権の中には、使用借権というものもあります。これは、貸す側が、借りる側に無償で土地を利用することを認めるもので(後で返すことが前提となっています。)、民法上使用貸借として規定されています(民法593条)。

 世上多いのは、夫婦どちらかの親の敷地に子ども夫婦が家を建て、親は子どもから賃料などを徴収せずに敷地を利用させてあげるような場合です。

 このような場合には、敷地の所有者である親が、親子の情愛に基づいて使用借権を設定したに過ぎず、夫婦の協力によって形成した財産とは言えませんから、財産分与の対象となる財産とは言えません。

4 親からの贈与

借地権についても、一方の親から親子の情愛に基づいて贈与されたような場合には財産分与の対象とならないのが通常です。

しかし、前々回に申し上げたとおり、他方の配偶者も、その財産の取得、維持、価値の増加に寄与しているということが言えれば、例外的に財産分与の対象とされることがあり得ます。

裁判例においても、「本件借地権は、控訴人(夫)が昭和四三年九月父から無償で譲り受けたものであるから、その取得そのものに被控訴人(妻)の寄与、貢献があつたとはいえないが、その維持のために被控訴人(妻)が寄与したことが明らかであり、・・・その割合は、本件借地権についてはその価格の一割、その余の積極財産及び消極財産については、控訴人(夫)と同等と認めるのが相当である。(括弧内は筆者)」と述べて、財産分与の対象と認められたものがあります(東京高裁判決昭和55年12月16日判例タイムズ437号151頁)。

以上

弁護士 平久 真