暑い日々も、昨日から小休止、といったところでしょうか。
暑いのもイヤですが、雨降りもイヤですねえ。週末はやっぱり晴れてほしいものです。
最近、朝日新聞の記事で、「デートDV」というのが連載されていました。
DV(ドメスティックバイオレンス)という言葉はよく聞くと思いますが、これは家庭内暴力のことです。「デートDV」という言葉は初めて目にしたのですが、どうも、交際中の男女間におけるDVのことらしいです。
結婚した家庭のDVであれば、逃げられない感じがするけれど、単なる交際中の関係なら逃げられるのでは、と思ってしまったのですが、暴力を受けたり、過度に束縛されたりしても、徐々に「つらい、けど離れられない。」という気持ちになってしまうようです。不思議です。
私が今受け持っている案件でも、妻(私の依頼者)が夫から異常なコントロールを受けているのに、それが異常な事だと思えず我慢していたという案件があります。
妻は夫から暴行を受けたこともあるのですが、それよりも、夫が妻を支配しコントロールするような言動を繰り返したために、夫に服従せざるを得なくなって行ったようです。妻は特に弱いタイプの人ではないと思うのですが、それでも夫のコントロールを受けてしまっているのです。後で考えてみれば、あれが発端だったのかな、と思う事件があったそうなのですが、その当時は深く考えず、いつの間にか、人に相談することすら思いつかないような精神状態に陥ってしまったようです。
これは一般的に言うDVにはあたらないかもしれません。
この案件の妻も、自分が受けているのは一般的に言うDVではないし、「我慢すればいい。このくらいよくあることだ。」と考えて、離婚できないのではないかと思っていたらしいです。
しかし、離婚が認められるのかどうかは、DVに該当するかどうかより、民法770条1項各号の離婚事由があるかどうかです。
民法770条1項の中で一般的によく使われるのは、同条5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」です。
ですから、離婚できるかどうかは、DVにあたるかどうかより、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるかどうかで考えればよいのです。
夫が妻に対して暴力をふるったり、異常な束縛をするなど、妻の精神的身体的安全が脅かされているような場合、これはDVとまでは言えないから…と考えて離婚することができないと考える必要はありません。要は、「婚姻を継続し難い重大な事由」といえるかどうかです。
もし、夫の束縛や異常な行為で悩んでいる方がいらっしゃれば、悪いのは自分だけ、自分が我慢すればよい、と思わず、一度、人に相談してみてください。それで、夫と離婚して新しい生活を始めるきっかけがつかめるかもしれませんよ。