ご相談者A子さん
「交際相手との間に子供ができてしまいました。交際相手に告げたところ、結婚はおろか、認知もしないと言われてしまいました。お腹の中の子供に罪はないので、産もうと考えています。交際相手には親としての責任を果たしてもらいたいのですが、どうしたら良いでしょう?」
まず、結婚についてですが、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」するものですから、(憲法24条1項)、法律上、結婚することを強制することはできません。
なお、A子さんと交際相手との間に、婚約が成立していたような場合には、婚約の不当破棄による損害賠償を請求できる場合があります。
そこで、A子さんのケースでは、交際相手に対して、お子様の認知を求めると同時に、養育費の請求をしていくことになります。
交際相手が任意の認知に応じてくれる場合には、市区役所に認知届を提出すれば良いのですが(「任意認知」といいます。)、交際相手が認知を拒否するような場合には、家庭裁判所に対して、認知調停・養育費請求調停の申立てを行う必要があります。
認知調停の中で、認知について合意が成立した場合、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上で、当事者間の合意が正当と認められる場合には、合意に相当する審判を行います(家事事件手続法277条)。
上記の必要な事実の調査については、実務上、DNA鑑定や、裁判官の審問などが行われています。
当事者間に合意が成立しており、裁判官の審問の結果、合意が正当と認められる場合には、DNA鑑定を行わずに、合意に相当する審判が行われることもあるようです。
交際相手が「親子関係の有無をきちんと確認してから認知したい!」と言ってきた場合には、DNA鑑定を実施することになるでしょう。近年、DNA鑑定は安価になっており、10万円前後で実施可能で、所要日数も2~3週間程度です。
なお、認知調停の中でも合意が成立せず、不調に終わったような場合には、認知の訴えを家庭裁判所に提起する必要があります。