1 はじめに
弊所では「夫が浮気をしたので慰謝料をとりたい。」というような不貞慰謝料請求のご相談を数多く受けており、その際、探偵業者による調査報告書を持参される方が多くいらっしゃいます。しかし、持参された調査報告書を見ると、かかった費用に比して証拠としての価値が乏しいものも多く、不貞慰謝料請求の交渉や訴訟において使えないこともよくあります。
そこで、今回は、浮気調査をするにあたって、価値の高い証拠を集めるポイントを解説します。
2 不貞の期間の長さが慰謝料額に反映する
不貞の慰謝料額は、様々な要素を総合して決定されますが、主要な要素として、不貞の期間の長短があります。要するに、不貞の期間が長い方が慰謝料は高くなる傾向があります。そのため、証拠としては、不貞が長く継続していたことを窺わせるものである方が価値は高いことになります。
3 価値の乏しい証拠
このような観点からすると、多額の費用を要した割に価値の乏しい証拠の例として、路上での不倫現場を数分間の間に何枚も撮った写真等が挙げられます。数分間の間に何枚も写真をとったところで、それはあくまでその1日の不貞行為の証拠でしかないからです。また、同様に、探偵業者を利用して連続する2日間や1週間尾行し、証拠写真を撮ったとしても、それは連続する2日間や1週間の不貞の証拠でしかなく、慰謝料請求金額を増額させるための証拠としては弱いと言わざるを得ません。
4 価値の高い証拠を効率的に集めるポイント
では、長期間の不貞を裏付ける証拠をとるには、その期間中毎日尾行して証拠を押さえなければならないのかというと、そんなことはありません。ある程度不貞相手について情報が得られる状態であれば、一定期間のうち、不貞が行われやすい日(誕生日やクリスマス等)を予め特定し、その日を狙って調査を行うことが効果的です。
例えば、半年間のうち、2か月ごとに計3回尾行し、その3回でうまく不貞の現場写真を撮る等の証拠が得られた場合には、その半年間不貞関係が継続していたと評価される可能性が高く、連続する3日間の不貞の現場写真を撮った場合よりも遥かに慰謝料増額に資する証拠となります。
探偵業者を利用するにしても費用が高額となることが多いですので、費用対効果を考え、非効率な調査を依頼しないように注意しましょう。
弊所のグル―プ会社に東京探偵社AIという探偵会社がございますが、そこでは、弊所弁護士と連携した効率的な調査がご提供できます。ぜひお問い合わせ下さい。
弁護士 森 惇一