こんにちは。弁護士の長谷川です。

 この度、事務所内で、離婚についての知識を分かりやすく説明するブログを始めようということになりました。
そこで、これから毎日、離婚にまつわる色々な話を、当事務所の弁護士が、かわるがわる書いていこうと思います。

 ちなみに当事務所のHP上の掲示板に寄せていただいた離婚に関するご質問にもお答えしようと思いますので、気が向いたら、是非、フラッと書き込んで見て下さい。

 さて、離婚絡みのご相談で1番多いものって何だろう?と考えてみたら、やはり、法律相談にいらっしゃるようなものでは、圧倒的に「不貞」が多い気がします。それも「慰謝料」。
 「パートナーが浮気したから慰謝料取りたい!」というご相談もあれば、ご自身の浮気がばれてしまって「慰謝料を請求されている。どう対応したら良いのか?」というご相談もあります。

 でもパートナーが浮気したら、それだけで、「慰謝料を請求できる」という結論になるのでしょうか?
 答えは「NO」です
 確かに、不貞行為は民法上不法行為(要するに違法な行為)として、慰謝料請求理由になり得ます。
 実際、不貞とは、言ってみれば、「夫婦」という法律で保護された関係を、第三者と肉体関係を結ぶことでぶち壊すという、とっても乱暴な行為ですからね。
 でも、もし、浮気する前から、夫婦関係が既に別の理由で壊れていたら、「ぶち壊す」ということにはなりませんよね。
 だから、不貞を理由に慰謝料が請求できるというのは、「不貞」が夫婦の破綻の原因(又は、少なくとも破綻に瀕する原因)になった場合なのです。

 わかりづらい?  誤解を恐れず簡単に言ってしまうと、「『夫(妻)が浮気したから夫婦仲が壊れた』と言えなければ、たとえパートナーが浮気しても、慰謝料取れるとは限りませんよ」ということです。

 例えば、結婚10年の夫婦がいます。奥様はご主人の両親ともの凄く折り合いが悪く、よく苛められていました。そしてそのことが原因でご主人との仲も悪くなり、遂に3年前から別居していたとします。この間、離婚の話も何度かでましたが、条件面の折り合いがつかず、何となくダラダラ・・・。さて最近、この奥様に恋人ができて肉体関係を含む交際を始めたところ、ご主人にそのことがバレてしまい慰謝料を請求されました。
 こんな場合に、奥様は慰謝料を払わなければならないんでしょうか?

 勿論、現実の事案はこんなに単純化できませんけど、その点を踏まえて言えば、私はこの事例では慰謝料は払わなくても良いと思います。
 だって、義理のご両親との関係が原因で、夫婦関係も悪くなり既に3年も別居している訳ですよね。3年間の別居、しかも離婚の話も何度か出ているという点で、このご夫婦は既に破綻=壊れている状態です。
 従って、奥様の浮気によって、夫婦関係をぶち壊したとは言えませんから、不法行為にはならない=慰謝料を請求される理由にはならないということになります。

 ついでに申し上げると、この事案でもそうですが、一般的には、別居=破綻と見られ易い為、別居後に不貞をしても、慰謝料請求事由になりづらいということがあります。
だからといって、夫婦関係の清算ができないうちに浮気することは面倒の元なのでお勧めしませんが(笑)。

弁護士 長谷川 桃