こんにちは
弁護士の坪井智之です。
本日は離婚した場合に受け取ることができる社会保障について書きます。
現在日本において離婚した場合に金銭面で困る方の多くは、女性です。その原因として考えられるのは、働く女性が増えたとはいえ、専業主婦の方やパート・アルバイトで子育ての合間に働いている方が多いことです。
このようにパート・アルバイトの方が多いのは、妻の所得が103万円以下であれば、配偶者控除があり、夫の所得から38万円が引かれて所得税を計算できるため、税負担を軽くできるというメリットがあるからです。また、妻の所得が130万円を超えると夫の扶養から外れて、別途国民健康保険料を支払う必要が生じるため130万円以下に所得を抑えること方が多いといえます。(これらの制度には賛否両論ある)
さらに、最近はイクメンの方が増えたとはいえ、子育てを女性がメインで行っている家庭はやはりまだまだ多く、実際には正社員で長時間働くのは容易ではないという状況もあります。
上記のような諸事情により女性の所得が低い場合に離婚し、女性が親権を取得すると普段の生活費や子供を育てるためのお金が必要となり、金銭的に厳しい状況に追い込まれます。
確かに、養育費や財産分与によって一定の金銭を得ることができる場合もあります。しかし、養育費の金額は必ずしも高額でありませんし、残念ながらきちんと支払いをしない男性も多いのが現状です。
そこで、離婚した場合に得ることができる社会保障を十分に知り、金銭面の確保を行うことは非常に重要であるといえます。以下 離婚に伴う社会保障を簡単に紹介します。(詳細については各市町村にお尋ね下さい。)
1.児童扶養手当
児童扶養手当は、父母の離婚・死亡などによって、父または母と生計を同じくしていない児童が支給対象になり、児童を養育している方に支給されます。ただし、手当の支給には所得制限があります。
これを受給するための必要な書類は①請求者及び対象児童の戸籍謄本②世帯全員の住民票③所得証明書④請求者名義の預金通帳と年金手帳⑤印鑑⑥申請理由によりその他添付書類です。
支給金額は年度によって異なるため一概には言えませんが、最高で4万円1千円前後受給できる場合があります。
2.児童育成手当(東京都等一部の地域のみ)
自治体によっては独自にひとり親家庭に支給する児童育成手当があります。これは児童扶養手当や養育費を取得していたとしても、支給要件に該当する場合には受給できます。ただし、所得による受給制限があります。
3.児童手当
児童手当の支給対象になる児童は、0歳から中学校修了までの日本国内に住民登録している児童です。(ただし、所得制限があります)
所得制限未満の方は児童一人当たり以下の金額を受給できます。① 0歳~3歳未満 1万5000円
② 3歳~小学校修了前 1万円
③ 中学生 1万円
4その他
上記以外にも①生活保護の受給②就学助成費③母子福祉資金貸付金④国の教育ローン⑤社会福祉協議会の教育支援資金の貸付け⑥日本学生支援機構の奨学金⑦ひとり親家庭医療費助成制度等を得ることができるケースもあります。
以上のように、離婚し金銭面で困った場合には、様々な国や市町村の制度があります。これらをうまく活用して生活の負担を軽くし、子供の健やかな成長を考えることが大切です。
弁護士 坪井 智之