こんにちは。
本日は、家事調停に現れる謎の3人目のお話をしたいと思います。
あなたが家事調停(離婚調停・遺産分割調停・婚姻費用請求調停等)を申し立てて家庭裁判所に行くと、通常は男女ペアの調停委員があなたのお話を聞き、当事者間の紛争を解決に導いてくれます。
この調停委員2人と家事審判官の3人で調停委員会を形成し、家事調停を主宰します。ただし、家事審判官は調停が係属している間にはめったに同席することはなく、調停委員の報告を聞いて方針を決めたりするにとどまります。
調停はどちらの当事者の言い分が正しいかを決めるものではないので、調停委員は当事者と一緒に紛争の実情にあった解決策を考えるために、当事者の言い分や気持ちを十分に聴いて調停を進めていきます。
この制度のデメリットは、調停委員は法律の専門家ではないため、当事者の言い分や気持ちに引きずられすぎて法律的にはとても考えられないような(一方当事者にとって)不当な条項で調停をまとめようとすることがよくある点です。我々弁護士が代理人として家事調停に参加していれば法律的に不当な条項で調停をまとめることなどありませんが、当事者の方が弁護士などをつけずに調停に参加するとこのようなことはよくあります。
しかし、この調停委員の他に家事審判官ではなく家事調停官という人を加えた3人で調停委員会を形成してその3人に話を聞いてもらうことがあります。
この家事調停官が冒頭の謎の3人目です。
家事調停官は、弁護士で5年以上その職にあった人のうちから、最高裁判所が任命します。
最近、家事調停官が調停に参加することで、裁判所の行っている業務に弁護士的な発想を取り入れることができるようになり、家事調停官が参加している調停では法律的に不当な条項を押し付けてくるようなことは少なくなった気がします。これにより、前述した調停委員のみで家事調停を進めるデメリットは回避できます。
家事調停官は家事審判官が行うものとされている調停に関する権限を行うことができます。
このような家事調停官の制度により、通常は弁護士として通常業務をしている家事調停官はそれまで離婚事件を解決してきた経験から、一般庶民の当事者の立場や感情なども理解したきめの細かい調停運営が可能となるでしょう。
一方で、当事者としては、家事調停官に対してはしっかり自分の主張をして、自分の主張を相手方に説得してもらうようにしましょう。