離婚の方法として、当事者の話し合いによる協議離婚、離婚調停による調停離婚、裁判を起こし判決による裁判離婚とがあることは、ご存知の方も多いと思いますが、審判離婚というものがあることをご存知の方は少ないと思います。これは、調停中に裁判所の職権で審判によって離婚が認められるものです。
実際に審判離婚がされるのは、ごく僅かなので、知らないのは当然です。経験のある弁護士も少ないと思います。弁護士法人ALGは、多くの弁護士が数多くの家事事件を取り扱っており、何度か審判離婚を経験しています。
審判離婚は、法律上、調停に代わる審判として、家事審判法の時代から認められていたもので、家事事件手続法でも認められています。
家事審判法では、当事者の話し合いで解決すべき性格の強い事件といえる、財産分与や親権者指定、子の監護に関する処分といった乙類事件は対称から外すこととされていましたが(家事審判法24条第2項)、家事事件手続法では、合意に相当する審判の対象事件以外は、乙類事件についても調停に代わる審判の対象とすることとされ、調停に代わる審判の対象事件がひろくなりました。
また、家事事件手続法では、「調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のために必要な審判をすることができる。」とあっさりとした部分だけが残され、家事審判法にあった「当事者双方の申し立ての趣旨に反しない限り」という文言がなくなりました。
これだけ見ると、裁判所の価値判断で審判離婚させられてしまうように読めます。
家事事件手続法が施行されてからあまり期間が経っていないので何とも言えないのですが、増えていくように思います。
例えば、双方離婚したいという点では合意できていて、しかも、離婚原因、親権についても齟齬がないような事案で、慰謝料や財産分与、面接交渉について争いがあるような場合、今までは、離婚条件が合わないといって調停を引き伸ばし、訴訟終了まで婚姻費用を請求し続けるという作戦が取られ、婚姻費用を負担している側が、婚姻費用の負担がきつくなり、婚姻費用を支払う負担を考えれば、何らかの解決金を支払うほうがましだといって折れなければならないということが多く起こっていました。しかし、裁判所が職権で、調停に代わる審判で離婚を認めてくれれば、婚姻費用の負担がなくなります。
いわゆる兵糧攻めに屈する必要がなくなります。
とはいうものの、離婚すること、離婚原因、親権に争いがない事案はすくないですが。。。。
離婚原因や親権に争いがあっても、離婚すること自体に争いがないのであれば、どんどん調停に代わる審判をしてもらいたいものです。