離婚に際して、養育費を一括で支払うことを約束する場合があります。請求する側としては、養育費を取り損ねる心配がなく、得な気がしますね。相手が、公務員のように固い職業であれば収入が減少したことによる養育費の減額がされる可能性は低いですが、収入が不安定な相手、例えば、自営業者であれば将来の収入がどうなるか見通せないことからすると、一括払いをして欲しいという気持ちもよくわかります。相手が転職を繰り返しているような場合にはなおさらでしょう。
養育費の減額請求を防ぐ手段として一括払いは有効でしょう。そのかわり、養育費の増額請求や再請求は原則的にできません。また、一括払いは、贈与税の課税対象になる可能性があることは気を付けておかなければいけません。
一方、支払う側の中には、長期的な養育費の支払いという負担を逃れることができるので、お金のあるうちに一括して支払ってしまいたいと考える方もいるでしょう。一度に解決し、前向きに次の相手を探したいという気持ちはよくわかります。ただ、一括払いをしたとしても、養育費を計画的に使ってくれるとは限りません。浪費され養育費がなくなったとして、再度、養育費を請求されることも考えられます。養育費の再請求は容易には認められませんが、一括払いを決めた前提事実が変われば再請求が認められることがあります。養育費の再請求を受ける可能性がある以上、一括払いをしたからといって安心はできません。
では、養育費の浪費を防ぐ方法はないのでしょうか。あまり用いられてはいませんが、信託契約をする方法が考えられます。
具体的には、一括払いする養育費を信託銀行に預け、子を受取人として月々に分割して給付金を受け取るように契約することになります。
養育費については、いくらもらえるのかということにばかり関心が行きます。確かに、金額は重要です。ただ、養育費は支払方法にも色々あることは覚えておいてほしいと思います。