先月5日のblog「離婚と税金(1)」で見た通り、離婚関係で当事者間のお金が動く根拠は、大まかに分けると①財産分与、②慰謝料、③婚費ないし養育費です。
 (記事はこちら:離婚と税金(1)

 今回扱うのは、③のうち婚費です。

 婚費とは、「婚姻から生ずる費用」のことであり、夫婦間では、資産や収入その他一切の事情を考慮して分担するものとされています(民法第760条)。婚姻費用に含まれるのは、子の養育費や家族としての生活費などですね。

 婚費のやり取りというのは、夫婦が同居している間は夫婦の財布から互いのために支出されていくと考えられますので、特に問題になりません。問題になるのは、夫婦が別居していて、夫婦の一方がもう一方に対して婚姻費用を送金するような場合です。

 たとえば、親族関係にない友人に毎月お金をあげるとすれば、友人には贈与税がかかります。では、別居している夫婦間ではどうでしょうか。

 夫婦では、上記の通り、民法第760条に婚姻費用分担が定められています。この分担義務は、別居したからといってなくなるものではありません。夫婦の相互扶助義務(民法第752条)も、別居したからといって直ちに消えるものではありません。これらの規定は、夫婦は助け合い、お金もできる範囲で出し合って家庭を成り立たせるもの、という内容ですから、この民法の思想をまとめると、夫婦は相互に扶養義務を負うということがいえるでしょう。

 ところで、相続税法第21条の3第1項第2号及び同項柱書には、「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」の価額は、贈与税の課税価格に算入しない・・・つまり、扶養義務者相互間で生活費又は教育費として渡されたお金は非課税だと規定されています(「生活費」の内容は通達によりさらに詳細に規定されています)。

 すると、別居していても夫婦間でやり取りされる婚費は非課税ということになります。

 最後に、自分たちの婚費としてどの程度の額が相当かということは、夫婦の収入額や子の人数によってある程度ですがわかります。
 相談にご来所される際には、お気軽にお尋ねくださればと思います。