前回までは、民法上の内縁関係の取り扱いを中心に述べてきました。今回は、民法以外の取扱いについて考えてみたいと思います。
民法は、法律婚主義を前提とし、法律上の婚姻関係を重視することは以前より述べてきました。ということは、法が変われば趣旨も変わるでしょう。例えば社会保障法の取り扱いがあります。
社会保障とは、憲法25条を具体化するものであることから、現実の家庭生活や社会生活の実態を基礎とすることが憲法の趣旨に合致します。そこで、規定のなかで内縁関係について手当てがされています。「婚姻の届出をしてないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある(にあった)者」も保障の対象とされています。
① 健康保険(健康保険法3条7項、59条の2・3・4)
② 国民年金の遺族基礎年金、寡婦年金(国民年金保険法5条8項、37条の2第1項、49条)
③ 遺族厚生年金、老齢厚生年金(厚生年金保険法3条2項、59条1項、44条1項)
④ 育児休業や介護休業の申出、育児や介護による労働時間の制限・深夜業の規制(育児介護法2条)
⑤ 公営住宅や公団住宅への入居者資格(公営住宅法17条)
などがあります。
これら以外にも、様々な保障があります。民間企業であれば独自に規定されていることも多いものです。
1つ例を挙げるとすると、死亡退職金について定義規定をおくことにより事実上の配偶者を受給権者と認めている場合があります。
様々なパートナーとの形が生まれている現在、内縁関係の保護はより複雑化し、争いも多様化してくるでしょう。
是非、一度専門家に相談してみることをお薦めします。