離婚に際して一度決定した養育費を、その後の「事情の変更」を基にして変更することができることは、結構広く知られているようです。裁判所の調停でも、養育費変更(増減額)は一般的です。

 一度養育費の額を決めたものの、その後何らかの事情の変化があって割高(または割安)になったと思われる場合は、専門家に相談したり、変更を申立てたりしてみると良いでしょう。

 さて、養育費の額を決めると言っても、色々な決め方があります。話し合いも何もなくただ一定金額をずっと支払っている場合、単に口頭で話をつけてその通りの金額を払う場合、離婚協議書で定める場合、公正証書で定める場合、調停調書や判決などで決まる場合、などなど。

 話し合いや協議書で養育費額を決めていた場合は、変更についても話し合いや協議書などお互いの合意で決めて大きな問題は生じないでしょう。しかし、公正証書や調停調書、判決などで養育費の額を決めている場合、決まった養育費の支払いについては強制執行が可能となります。そして、この場合、お互いのみで協議して養育費の額を変更しただけでは、強制執行の根拠となるこれら書面(債務名義)には何の変更も及んでいません。お互いで決めたから安心と思って、特に減額や支払中止を行なった場合、元の金額で強制執行をかけられる可能性は残ります。そうなってから慌てて、お互いで協議した上での変更合意を主張しても、法的手続きに時間も手間もかかって面倒です。

 そのため、債務名義が存在する形で養育費の額を決定した場合には、よほど相手を信用するというなら別ですが、その変更に当たっては公正証書を作ったり、調停を利用したりしておく方がいいのではと思います。

 これもまた面倒な話ではありますが、一度しっかりした手続きで金額を決めた以上、その変更にもそれなりの手間をかけることを嫌がるべきではないだろうと思います。