こんにちは。もうすぐ9月ですね。この時期になると、小学生のころ、自由研究とか読書感想文とか、面倒な宿題をどうしようかと悩んでいたことを思い出します。あれはあれでつらかったけど、宿題の事だけ考えていればよかったんだから、子どもってやっぱり大人に守られているんだなあ…と、今は思います。

 さて、その守られるべき子どものために、子ども名義で預貯金をしている方は、結構いらっしゃるのではないかと思います。

 この子ども名義の預貯金、実際は親がお金を出しているのですが、一体、誰のものなのでしょう。
 名義人と実際のお金の出資者が異なっているので、疑問に感じませんか。

 これは、離婚に際して財産分与をしようとする場合に問題となり得ます。

 財産分与は、基本的には、夫婦が婚姻後に築き上げた財産は、2人が協力して築いた物なのだから、離婚するときには夫婦で半分にするというものです。だから、婚姻後に夫婦それぞれが増やした預貯金は、通常、財産分与の対象になります。

 では、親(離婚しようとしている夫婦)が自分の収入を子ども名義の預貯金にあてていた場合、その子ども名義の預貯金も財産分与の対象になるのでしょうか。

 実際にお金を出した人が誰か、で財産が誰のものか決まると考えれば、子ども名義の預貯金も親の財産となり、財産分与の対象となりそうです。

 他方で、名義人こそが財産の持ち主だと考えれば、子ども名義の預貯金は子どもの財産となり、財産分与の対象とはなりません。

 この点について、子ども名義の預金は、財産分与の対象とならないと判断した裁判例(高松高等裁判所平成9年3月27日判決)があります。

 この裁判例は、子ども名義の預金は、子どもに対する「贈与」の趣旨でされたものであると判断しました。つまり、子ども名義の預金は、預金されたことで親から子供への贈り物となるのだから、もはや子どもの財産であって、親の財産分与の対象とはならないということです。

 たしかに、普通、自分の資産形成のために子ども名義で預金する人はいないですよね。この裁判例は、そんな実情に基づいて、子ども名義の預金の趣旨を導いたのではないでしょうか。

 子ども名義の預金は子どもの財産なのだから、離婚後に子どもの親権者となる人が管理すべきものです(親権者は子どもの財産を管理する権限がありますので。)。ですから、子どもの親権者となる親御さんは、子どもの財産の管理のために、子ども名義の預金の通帳や印鑑を確保しましょう。