離婚には、大きく協議離婚と調停離婚、裁判離婚がありますが、夫婦間に大きな条件の対立がない場合には協議離婚で離婚を成立させることが多いと思われます。

 実際のところ、話し合いで大した手間をかけることなく離婚条件を整えることができる見通しがあるなら、頑張って協議をまとめ、それで済ませた方が裁判所を通す手間暇費用を節約できます。

 もっとも、協議の結果離婚の合意書を作成したとしても、当該合意書には特段執行力等の効力が認められるわけではありません。離婚後の金銭支払いのことを心配して、合意書を作成して離婚を行なった後、改めて養育費や一時金について公正証書を作成したりすることは多いようです。離婚の合意条件について公正証書を作成した後に離婚届を提出することも同じく。

 何が悪いというわけではないですが、協議の努力と合わせ、これはこれで手間暇費用がかかっているのは確かです。

 調停で離婚を成立させた場合、離婚条件については調停調書が作成されることとなりますので、金銭支払いにつき執行力が生じることとなります。離婚後のお金の支払いを心配して、重ねて公正証書を作成する必要はありません。まあ、便利のいい話です。

 前もってよく話し合い、双方の間に大きな対立のないことを確認しておけば、調停も1~2回での短期決着が期待できるため、裁判所への出頭も大きな負担にならないでしょう。

 その他、年金分割の場合には、調停調書を必要書類として用いることができるため、便利がいいです。

 また、協議離婚の場合には、協議書の文言が曖昧になってしまったなどの理由で後日の紛争を招くことがあり得ます。この点も、調停なら調停委員や裁判官、代理人を立てるなら代理人のフォローもあるので、面会交流の微妙な条件設定や、登記費用や振込手数料などの見落としやすい金銭の負担などについても、より完成度の高い条項の組み方ができると思います。

 双方に大きな対立がなく、協議の形での離婚の見通しが十分に立つ場合であっても、協議離婚以外はあり得ないわけではありません。各離婚方法の長短を知り、自身にとってより効率と確実性、費用対効果の高い方法を柔軟に選択してよいと思います。